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ロシア産デマントイドとは?アンドラダイトとの違い・ホーステール・価格・産地鑑別を解説

GEMOLOGY GUIDE|専門家監修

ロシア産デマントイドとは?

アンドラダイトとの違い・ホーステール・価格・産地鑑別を解説

「デマントイド」と「アンドラダイト」は別の宝石?ホーステールがあればロシア産?——混同されやすい2つの名称の関係と、産地鑑別の考え方を、ジュエリー専門バイヤーの監修のもと整理します。

監修:齊藤孝蔵(株式会社セルビー) 最終更新:2026年
▲ 内部に「ホーステール(馬の尻尾)」を宿すデマントイドのイメージ

■ まず結論(30秒で分かる要約)

  • デマントイドはアンドラダイトガーネットの一種(変種)です。「別の鉱物」ではなく、親子のような関係にあります。
  • 宝石市場では一般に、緑色〜黄色みを帯びた緑色のものが「デマントイド」と呼ばれ、なかでも彩度の高い鮮緑色が高く評価される傾向があります。緑色を主色としない黄色〜黄褐色のものは「アンドラダイトガーネット(トパゾライト等)」として流通します。
  • ホーステールインクルージョンはロシア(ウラル)産の重要な手がかりですが、他の産地(イラン、イタリア、パキスタンなど)でも確認例があり、ホーステールの有無だけで産地を断定することはできないとされています。
  • 産地の裏付けには、第三者鑑別機関による産地鑑別(オリジン・レポート)が有効です。セルビーでは、日独宝石研究所のご協力のもと、ロシア産デマントイドは産地鑑別を取得したものをご提供する運用としています。
01|関係を整理する

デマントイドとアンドラダイトの関係|「別の石」ではなく「親子」

最初に押さえたいのは、デマントイドはアンドラダイトガーネットの変種(バラエティ)だという点です。鉱物としてはどちらも同じ「アンドラダイト(灰鉄柘榴石/Ca3Fe2(SiO4)3)」であり、色の違いによって呼び名が変わります。

つまり「デマントイドとアンドラダイトの違いは?」という問いへの最も正確な答えは、「デマントイドはアンドラダイトのうち、鮮やかな緑色を示すものに与えられた宝石名」ということになります。

ガーネットグループ 化学組成の異なる十数種の鉱物の総称 パイロープ アルマンディン赤〜赤紫 スペサルティン グロッシュラー緑・橙ほか ウバロバイト緑(微小) アンドラダイト灰鉄柘榴石 色によって変種名(宝石名)が変わる デマントイド 鮮やかな緑(Cr等に由来) ★ 本記事の主役 トパゾライト 黄〜黄褐色 メラナイト レインボー 虹彩(イリデッセンス) ※分類は代表例。ガーネットグループには他にも多くの鉱物種・変種が存在します。
【図1】ガーネットグループの中のアンドラダイトと、その変種たち。デマントイドはアンドラダイトの「緑の顔」です。

市場での「呼び分け」はどうなっている?

鉱物学的には同じアンドラダイトでも、宝石市場では色によって扱いが変わります。一般に、緑色から黄色みを帯びた緑色を示すアンドラダイトが「デマントイド」と呼ばれ、なかでもクロムをはじめとする微量元素に由来するとされる彩度の高い鮮緑色は高く評価される傾向があります。一方、緑色を主色としない黄色〜黄褐色のものは、「アンドラダイトガーネット」「トパゾライト」などの名称で流通することが多くなっています。

アンドラダイトのカラーレンジ(イメージ) この領域が「デマントイド」 緑〜黄色みを帯びた緑(鮮緑色ほど高評価の傾向) 黄〜黄褐色:トパゾライト等 「アンドラダイトガーネット」として流通 ※デマントイドは緑色系アンドラダイトに用いられる確立した変種名ですが、黄色みの強い境界的な色調では名称の運用に差が生じる場合があります。
【図2】同じアンドラダイトでも、色によって宝石名と市場での評価が変わります。
ポイント:デマントイドは緑色系アンドラダイトに用いられる確立した変種名です。ただし黄色みの強い境界的な色調については、鑑別機関や市場で名称の運用に差が生じる場合があるため、名称は鑑別書の記載を基準に確認するのが確実です。
02|デマントイドの魅力

デマントイドガーネットとは|ダイヤモンドを上回る分散値

デマントイドは19世紀後半、ロシアのウラル山脈で発見された緑色ガーネットです。名前は「ダイヤモンドのような」を意味する言葉に由来するとされ、その名の通りダイヤモンドを上回る分散値(ファイアの強さの指標)を持つことで知られています。帝政ロシア時代には宮廷や宝飾工房にも愛され、アンティークジュエリーの世界でも人気の高い宝石です。

主な宝石の分散値(ファイアの強さの目安) デマントイド 0.057 ダイヤモンド 0.044 ジルコン 0.039 サファイア 0.018 水晶 0.013 ※分散値は文献で一般的に示される代表値。実際のファイアの見え方はカット・色の濃さ・照明環境により異なります。
【図3】デマントイドの分散値0.057はダイヤモンド(0.044)を上回ります。緑の中に虹色の煌めきが走るのはこのためです。

ただし、分散値が高いことと、肉眼で常にダイヤモンド以上のファイアが見えることは同義ではありません。地色の濃い石では虹色の分散光が目立ちにくく、淡い黄緑色の石ほどファイアを感じやすい場合があります。

基本データ

項目 内容
鉱物名 アンドラダイト(灰鉄柘榴石)/ガーネットグループ
化学組成 Ca3Fe2(SiO4)3
モース硬度 6.5〜7程度(ガーネットの中ではやや柔らかめ)
屈折率 約1.88〜1.89(宝石の中でも高い部類)
分散値 0.057(ダイヤモンドの0.044を上回る)
色の要因 クロム(Cr)・鉄(Fe)などの微量元素とされる
主な産地 ロシア(ウラル等)、ナミビア、マダガスカル、イランほか
03|歴史と評価

ロシア産デマントイドが高く評価される理由|発見から現在まで

「ロシア産」がデマントイドの代名詞のように語られるのには、宝石そのものの資質に加えて約150年におよぶ歴史的な背景があります。デマントイドは1860年代後半、ロシア・ウラル山脈で発見されたと伝えられ、その強い輝きから「ダイヤモンドのような」を意味する名が与えられました。

19世紀末から20世紀初頭にかけては、帝政ロシアの宝飾工房ファベルジェの作品に用いられたことで知られるほか、ティファニーの宝石学者ジョージ・クンツが高く評価したことも広く伝えられています。アールヌーヴォー〜エドワーディアン期の欧米のアンティークジュエリーにも登場し、「緑の宝石の中でも特別な一石」としての地位を築きました。

その後、20世紀のロシアでは産出が大きく減少した時期が続き、まとまった供給が難しかったことが希少性のイメージを強めました。1990年代以降はウラルでの採掘再開やナミビア・マダガスカルなど新産地の登場で市場が再び活気づきますが、クラシックな産地としてのロシア産、とりわけ色・透明度に恵まれた石は現在も別格の存在感を持つとされています。

デマントイドの歩み(概略年表) 1860年代後半 ウラル山脈で 発見と伝わる 1870年代 「デマントイド」 と命名される 19世紀末〜20世紀初頭 黄金期 ファベルジェの作品に使用。 アールヌーヴォー期の ジュエリーで人気に 20世紀 産出が減少し 希少性が高まる 1990年代〜現在 採掘再開・新産地の 登場で再評価が進む ※年代・経緯は文献により記述に幅があるため概略として示しています。
【図6】発見から約150年。歴史の厚みが「ロシア産」の評価を支えています。

ロシア産が評価される3つの理由(整理)

まとめると、①色の資質——クロムをはじめとする微量元素に由来するとされる彩度の高い鮮緑色を示す良質石が知られていること、②歴史とストーリー——ファベルジェやアンティークジュエリーに連なる文脈を持つこと、③希少性——良質な石、特に1カラットを超えるサイズの産出が限られてきたこと。この3つが重なって、市場での高い評価につながっているとされています。ただし産地は品質を保証するものではなく、他産地にも美しい石が存在します。最終的には一石ごとの資質で選ぶのが本質です。

04|図解で理解する

ホーステールインクルージョンとは?構造と成因を図解

ホーステール(horsetail=馬の尻尾)とは、デマントイド内部で細い線状・繊維状の構造が一点付近から扇状・放射状に広がって見えるインクルージョン(内包物)の通称です。

従来、ロシア産などのホーステールはクリソタイルを中心とする蛇紋石族鉱物の繊維と説明されてきました。一方、近年の研究では、中空の成長チャンネルや、そこに蛇紋石族鉱物が部分的に含まれた構造である可能性も報告されています。また、産地によって内包物の鉱物組成が異なる例(イラン産では方解石の報告など)も知られており、その正確な構造や形成過程については現在も研究が続いています

多くの宝石でインクルージョンは「少ないほど良い」とされますが、デマントイドのホーステールは例外的な存在です。産地や成因を物語る「個性」として、むしろ好意的に語られることが多いのが特徴です。

扇状・放射状に広がる線状構造 細い繊維状・チャンネル状の構造。 蛇紋石族鉱物を伴う場合がある 起点(結晶核など) 一点から噴き出すように伸びる なぜ「馬の尻尾」? しなやかな繊維の束が風になびく 馬の尾のように見えることから、 この愛称で呼ばれています。 蛇紋岩に関係する鉱床の石で よく知られています。
【図4】ホーステールの模式図。一点付近を起点に、金色〜淡黄色の線状構造が扇状に広がって見えます。
鑑賞のコツ:ホーステールはルーペ(10倍)や顕微鏡で観察すると立体的な広がりがよく分かります。肉眼で見えるほど大きく美しいホーステールを持つ石は、コレクターの間で「産地の物語を宿す石」として特に親しまれています。
05|産地を知る

ロシア(ウラル)産デマントイドの特徴と他産地との違い

デマントイドの歴史はロシア・ウラル山脈から始まりました。蛇紋岩に関係する鉱床から産出するウラル産は、クロムに由来するとされる鮮やかな緑色ホーステールの出現頻度の高さで知られ、現在も市場で高い評価を受けています。一方、1990年代以降はナミビア、2000年代以降はマダガスカルなど新しい産地も登場し、産地ごとに個性が分かれています。

主要産地とホーステールの関係(一般的な傾向) ロシア(ウラル等) 1800年代後半〜/蛇紋岩関連の鉱床 ホーステール:代表的に知られる Crなど微量元素由来とされる鮮緑色。 歴史的にも評価が高い。 ※すべての石に入るわけではない イラン/イタリア/パキスタン 同じく蛇紋岩に関係する鉱床 ホーステール:見られることがある ○ 成因の近い鉱床から、 ホーステール状の内包物が 確認された例がある。 ナミビア/マダガスカル スカルン型など異なる成因の鉱床 ホーステール:基本的に見られない 黄緑〜緑。大粒が採れやすく、 近年の市場供給の中心的な 存在になっている。 ※あくまで一般的な傾向であり、個々の石の特徴や産地の判断は鑑別機関の検査によります。
【図5】産地とホーステールの一般的な関係。ホーステールは、蛇紋岩に関係する鉱床で形成された可能性を示す重要な手がかりの一つです。
06|よくある誤解

「ホーステール=ロシア産」と言い切れない理由

ここが本記事で最も大切なポイントです。ホーステールはロシア(ウラル)産デマントイドの有力な手がかりですが、前述のとおりイラン産・イタリア産・パキスタン産など、成因の似た他産地の石にも確認されています。したがって、宝石学的には次のように整理されます。

よくある誤解 「ホーステールがある。 だからこの石はロシア産だ」 → 他産地にも見られるため、 単独では産地の証明にならない 正しい理解 「ホーステールは有力な手がかりの一つ。 産地は内包物・微量元素などの 総合判断で示される」 → だからこそ第三者機関の産地鑑別が重要 ※産地鑑別は鑑別機関による専門的見解(オピニオン)として発行されます。
【図7】ホーステールは「証拠の一つ」。産地の裏付けは総合的な検査に委ねるのが誠実な考え方です。
ご注意:「ホーステール入り=必ずロシア産」「ロシア産=必ず高品質」といった表現は、宝石学的には言い過ぎにあたります。産地は品質を保証するものではなく、最終的な美しさは色・透明度・カット・サイズなど石そのものの資質で決まります。当記事ではこの前提に立って解説しています。
07|信頼の裏付け

産地鑑別(日独宝石研究所)の見方と意味

産地鑑別(オリジン・レポート)とは、鑑別機関が産地に関する専門的見解を示す書類です。一般に、内包物や成長構造の観察、分光学的特徴、化学組成など、必要に応じた複数の情報が比較検討されます。実際に用いられる検査方法は、鑑別機関・宝石種・個体の状態によって異なります。日独宝石研究所は、デマントイドをはじめとするカラーストーンの鑑別・産地鑑別で知られる国内の鑑別機関の一つです。

セルビーでは、日独宝石研究所のご協力のもと、ロシア産デマントイドは産地鑑別を取得したものをご提供する運用としています。ホーステールの有無という一つの特徴に頼らず、第三者機関の総合的な検査を裏付けとしてお示しできる体制を整えています。

産地鑑別のイメージ(一般的な流れ) 拡大検査 内包物の観察 分光検査 色の要因を調べる 微量元素などの分析 化学組成の特徴を比較(例) 総合判断 産地鑑別レポート発行 ホーステールなどの内包物は、この「拡大検査」で観察される判断材料の一つ。単独ではなく、 複数の検査結果を突き合わせた総合判断として産地の見解が示されます。 ※本図は一般的な検査要素のイメージであり、特定の鑑別機関の検査工程を示すものではありません。産地鑑別は鑑別機関の専門的見解として発行されるものです。
【図8】産地鑑別は複数の検査を組み合わせた「総合判断」。ホーステールはその材料の一つです。
購入時のチェックポイント:産地表記のあるデマントイドを検討する際は、①どの鑑別機関の書類か ②「産地鑑別」まで行われているか(通常の鑑別書は鉱物名・変種名のみの場合があります) ③書類と石が紐づいているかの3点を確認すると安心です。
産地鑑別書で確認したい主な記載項目(模式図) GEM IDENTIFICATION REPORT(例) 石の写真:現物と照合できるか 鉱物名:アンドラダイト・ガーネット 変種名:デマントイド と記載されるか 重量(ct)・寸法:現物と一致するか 産地に関する見解(例:ロシア) 通常の鑑別書には無い項目。「産地鑑別」で付く ※本図は一般的な記載項目のイメージであり、特定の鑑別機関のレポート様式を再現したものではありません。項目名・様式は機関により異なります。
【図9】産地鑑別書を受け取ったら、この5点を現物と照らし合わせて確認しましょう(様式は機関により異なります)。
08|価格の考え方

デマントイドの価格の考え方|相場を左右する5つの要素

「デマントイドの相場はいくら?」という質問に一言で答えるのは難しく、同じ1カラットでも要素の組み合わせによって価格は大きく変わります。まずは価格を左右する5つの要素を押さえておくと、個々の商品の価格を比較しやすくなります。

価格を左右する5つの要素 ① 色 彩度の高い緑ほど 評価が高い傾向。 濃すぎても暗くなる ② 透明度と内包物 輝きを損なわない 美しいホーステールは 個性として評価も ③ サイズ 良質な大粒はまれで、 1ct超はカラット単価が 大きく上がる傾向 ④ 産地と鑑別書 産地鑑別付きの ロシア産は高評価に つながりやすい ⑤ カット ファイアを引き出す プロポーションか ※各要素の重みづけは石ごと・市場環境ごとに異なります。
【図10】5要素の掛け合わせで価格が決まります。「産地」は要素の一つであり、すべてではありません。

サイズ別の価格帯の目安

参考として、セルビーの取扱実績にもとづくサイズ別の価格帯の目安を示します。市場相場は品質・需給・為替などにより常に変動するため、あくまで検討時の出発点としてご覧ください。

 

デマントイドは同じ重量でも、色・透明度・産地・ホーステール・鑑別書の有無によって価格差が大きく、一律の相場を示すことが難しい宝石です。特にロシア産で色と透明度に優れた1ct以上の石は、個別評価の性格が強くなります。

※上記は当社取扱実績にもとづく目安であり、将来の価格や資産価値を保証するものではありません。個々の商品の価格は商品ページをご確認ください。

資産価値についてのご注意:デマントイドは希少性の高い宝石とされていますが、将来の価格上昇を保証するものではありません。宝石の価格は需給・景気・為替などで変動します。投資目的ではなく、まずは石そのものの美しさと、確かな裏付け(鑑別書)を基準にお選びいただくことをおすすめします。
09|ひと目で分かる

比較早見表|デマントイド vs アンドラダイト

項目 デマントイド アンドラダイト(トパゾライト等)
鉱物種 同じアンドラダイト(灰鉄柘榴石)——デマントイドはその変種名
彩度の高い緑〜黄緑 黄・黄褐・褐・淡い黄緑など
色の主な要因 クロム(Cr)などとされる 主に鉄(Fe)とされる
分散(ファイア) 0.057(共通/ダイヤモンドの0.044を上回る)
ホーステール ロシア産で代表的に知られる(すべての石にあるわけではない) 成因が同系統の鉱床の石には見られることがある
代表産地 ロシア、ナミビア、マダガスカル、イランほか マリ、メキシコ、日本(レインボー)ほか各地
市場での扱い ガーネット中でも希少性が高いとされる 個性的なコレクターズストーンとして人気
鑑別書の記載例 「アンドラダイト・ガーネット(デマントイド)」等 「アンドラダイト・ガーネット」等

※市場での評価や名称の運用は時期・事業者・鑑別機関により異なる場合があります。個別の石については鑑別書の記載をご確認ください。

選び方のポイント(まとめ)

デマントイドを選ぶ際は、①色(彩度の高い緑か)②ファイアの見え方 ③透明度とホーステールのバランス ④産地鑑別の有無の4点を軸にすると比較しやすくなります。ホーステールを個性として楽しむか、透明度を優先するかはお好み次第——どちらの選び方にも正解があります。また、モース硬度は6.5〜7程度とガーネットの中ではやや柔らかめのため、リングで日常使いする場合はぶつけにくいデザインを選ぶ、超音波洗浄を避けるなどの配慮があるとより安心です。

10|見分け方

似ている宝石・模造石との見分け方|ツァボライト・エメラルド・CZ

「デマントイド 偽物」「デマントイド 見分け方」と検索される背景には、見た目の似た緑色の宝石や模造石との混同があります。ここでは代表的な3つとの違いを整理します。なお、外観だけでの判別には限界があるため、最終的な判断は鑑別機関の検査に委ねるのが原則です。

間違えやすい緑の石|ひと目でわかる違いのポイント デマントイド 強いファイア(分散0.057) ホーステールを持つ ことがある ツァボライト 同じガーネットでも別種 (グロッシュラー変種)。 ファイアは控えめ エメラルド 鉱物はベリルで別物。 しっとりした輝きで、 ファイアは目立たない グリーンCZ等(模造) 人工の模造石。 内包物がほぼなく、 同寸法の天然石と比べて比重が高い ※外観の印象による目安です。確実な判別は鑑別機関の検査によります。
【図11】見た目が似ていても、鉱物・光学特性は大きく異なります。
項目 デマントイド ツァボライト エメラルド グリーンCZ(模造)
正体 アンドラダイトガーネット(天然) グロッシュラーガーネット(天然) ベリル(天然) 人工キュービックジルコニア
モース硬度 6.5〜7程度 7〜7.5程度 7.5〜8程度 8〜8.5程度
分散(ファイア) 0.057(非常に強い) 0.028程度 0.014程度 0.058〜0.066程度(強い)
内包物の傾向 ホーステールを持つことがある ホーステールは知られていない 「ジャルダン」と呼ばれる内包物が多い ほぼ無傷・無内包で均質
見分けの着眼点(目安) 緑+強いファイア+内包物の個性 ファイアの弱さ・色調の違い 輝きの質・内包物の様子 内包物が少なく均質に見える場合が多いが、外観だけでは判断できない・重さ

※数値は文献で一般的に示される代表値。実際の鑑別は屈折率・比重・分光などの検査にもとづいて行われます。

処理・合成石についての基礎知識

デマントイドでは、一部の産地の石について色の改善を目的とした低温加熱処理が行われる場合があることが知られています(未処理の石も多く流通しています)。処理の有無の開示方針は事業者・鑑別機関により運用が異なるため、気になる場合は購入前に確認するとよいでしょう。また、宝飾市場で合成デマントイドが一般的に流通している状況ではありません。市場で注意すべきは主にCZ・ガラスなどの模造石や、別種の緑色宝石との混同です。信頼できる鑑別書付きの商品を選ぶことが、最も確実な自衛策になります。

11|Q&A

よくある質問(FAQ)

デマントイドとアンドラダイトは別の宝石ですか?
いいえ、鉱物としては同じ「アンドラダイトガーネット」です。デマントイドは、そのうちクロムなどに由来するとされる鮮やかな緑色を示すものに与えられた変種名(宝石名)です。鑑別書では「アンドラダイト・ガーネット(変種名:デマントイド)」のように併記されるのが一般的です。
ホーステールがあれば必ずロシア産ですか?
断定はできません。ホーステールはロシア(ウラル)産の有力な手がかりですが、イラン産・イタリア産・パキスタン産など成因の似た鉱床の石にも確認例があります。産地の裏付けが必要な場合は、鑑別機関による産地鑑別(オリジン・レポート)を確認するのが確実です。
ホーステールは宝石の価値を下げるインクルージョンですか?
一般的なインクルージョンとは扱いが異なり、デマントイドのホーステールは産地や成因を物語る個性として好意的に評価されることが多いとされています。ただし、透明度や輝きを大きく損なうほどの内包物は評価に影響する場合もあり、最終的には石ごとのバランスで判断されます。
デマントイドのファイア(虹色の輝き)はダイヤモンドより強いのですか?
分散値という指標では、デマントイド(0.057)はダイヤモンド(0.044)を上回ります。ただし実際の見え方は、体色の濃さ・カット・照明環境に左右されるため、「数値が高い=どんな石でも常に強く見える」わけではありません。色が濃すぎない石ほどファイアを感じやすい傾向があります。
産地鑑別書(オリジン・レポート)とはどのような書類ですか?
鑑別機関が拡大検査・分光検査・微量元素分析などを組み合わせ、産地に関する専門的見解を示す書類です。セルビーでは、日独宝石研究所のご協力のもと、ロシア産デマントイドは産地鑑別を取得したものをご提供する運用としています。なお産地鑑別は鑑別機関の見解として発行されるもので、品質や将来の価値を保証する書類ではない点はご留意ください。
デマントイドは普段使いできますか?
モース硬度は6.5〜7程度で、ジュエリーとして十分使用できますが、ダイヤモンドやサファイアに比べるとやや柔らかい石です。強い衝撃や他の宝石との接触による傷にはご注意ください。お手入れは柔らかい布での乾拭きが基本で、超音波洗浄は内包物のある石では避けたほうが安心です。
デマントイドは希少な宝石ですか?
ガーネットの中でも特に希少性が高いとされる宝石です。とりわけ、彩度の高い緑色で透明度に恵まれた石や、1カラットを超えるサイズの産出は限られてきました。ロシア産に加えナミビア・マダガスカルなどの産地が登場した現在も、良質な石の供給は安定的とは言えない状況が続いているとされています。
デマントイドの価値は将来上がりますか?
将来の価格を保証することはできません。宝石の価格は品質だけでなく、需給・景気・為替などの影響を受けて変動します。希少性の高い宝石ではありますが、値上がりを前提とした購入はおすすめせず、石そのものの美しさと確かな裏付け(鑑別書)を基準に選ぶことをおすすめします。
デマントイドに加熱処理はありますか?
一部の産地の石について、色の改善を目的とした低温加熱処理が行われる場合があることが知られています。一方で未処理の石も多く流通しています。処理に関する開示の運用は事業者や鑑別機関により異なるため、気になる場合は購入前に販売店へ確認するとよいでしょう。
人工(合成)のデマントイドはありますか?
デマントイド(アンドラダイト)の合成石が市場に広く流通している状況は一般的ではありません。実際に注意が必要なのは、グリーンCZやガラスなどの模造石、あるいはツァボライトなど別種の緑色宝石との混同です。信頼できる鑑別書付きの商品を選ぶことが確実な対策です。
デマントイドとツァボライトの違いは何ですか?
どちらも緑色のガーネットですが、別の鉱物種です。デマントイドはアンドラダイトの変種、ツァボライトはグロッシュラーの変種で、最大の違いは分散(ファイア)の強さです(デマントイド0.057に対しツァボライトは0.028程度)。また、ツァボライトにホーステールは知られていません。詳しくは本文の「似ている宝石・模造石との見分け方」をご覧ください。
ホーステールがないロシア産デマントイドはありますか?
あります。ロシア産のすべての石にホーステールが見られるわけではありません。だからこそ、ホーステールの有無だけに頼らず、鑑別機関による産地鑑別で裏付けを確認することが大切です。
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SUPERVISOR

この記事の監修者

監修|SUPERVISED BY
齊藤 孝蔵(株式会社セルビー)

コメ兵グループ唯一のジュエリー専門企業のバイヤー。EC/SNS/ルース/製品制作部門を統括するとともに、レアストーンの買い付けも担当。真贋見極めと価値評価を得意とし、宝石学的情報の発信を通じて、消費者保護と市場の透明性向上に取り組んでいる。

【本記事について】本記事は宝石に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の商品の品質・価値・将来価格を保証するものではありません。分散値・硬度等の数値は文献で一般的に示される代表値です。産地鑑別は鑑別機関による専門的見解(オピニオン)として発行されるものであり、記載内容・検査手法は機関や時期により異なる場合があります。名称の運用(デマントイド/アンドラダイトの呼び分け等)は事業者・鑑別機関により差異が生じることがあります。ホーステールインクルージョンの構造・成因については現在も研究が続いており、本記事の説明は執筆時点での一般的な知見に基づくものです。
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